武士の特権

日本刀には多種多様な種類があります。太刀・刀・脇差・短刀・槍・薙刀が一般的な分類として知られています。卑賎の別がやかましかった古来の我が国において、佩用(はいよう)できる日本刀の外装用式には一定の掟があったことは有職故実に明らかでしょう。

名字帯刀は江戸時代の武士の特権であると学生時代に習った記憶がありますが、調べてみると武士の帯刀が明確に特権化したのは、五代将軍徳川綱吉の治世であるようです。具体的には武士以外の大小一腰(だいしょうひとこし)の佩用を禁じた政策によってでした。つまり綱吉以前では武士の大小一腰の佩用は特権ではなく、農民でも商人でも大小一腰を差すことができたということになります。

武家において刀が特別の意味を持つようになったのはこの特権意識が作用したものなのかもしれません。生類憐みの令など悪政で庶民を苦しめたと伝える五代将軍綱吉がいなければ、武士の特権意識に根ざす日本刀の神聖化はなったかもしれません。現在の刀剣ブームも綱吉あってのものかもと考えると、かの将軍に対する評価は改めなければならないと感じます。

関連記事

  1. 戦場に刀を必要とした理由

  2. 柳生流「閂差し」

  3. 【 日本刀】樋とは?

  4. 【一撃必殺】薩摩の示現流

  5. 皇室の家紋と日本刀

  6. お守り刀の風習